アニメ映画はなぜ実写よりコスパが良いのか?鬼滅・ジブリ・コナンから学ぶ黒字の秘密
映画のニュースを見ていると「○○億円突破!大ヒット!」とよく聞きますよね。
実写映画は大きな話題を呼ぶ一方で「黒字化は難しい」と言われることも多いです。
その一方で、アニメ映画は比較的低コストで作られているのに、何百億円もの興行収入を記録することがあります。
なぜアニメ映画はコスパが良いのでしょうか?
今回は『鬼滅の刃』『ジブリ』『名探偵コナン』といった事例をもとに考えてみます。
今回も夜な夜なAIのまるちゃんとアニメについて語っていたので、それをまとめたものになります。
実写映画はなぜコストが高いのか
実写映画は制作費のほとんどが人件費やロケ費用に消えていきます。
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俳優やスタッフのギャラ
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ロケ地の使用料やセット建設
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衣装・特殊効果
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撮影スケジュールに伴う膨大な人件費
ハリウッド映画になると、1本あたり制作費が100〜300億円規模。
「スター俳優を何人起用するか」で桁が変わるのも特徴です。
そのため、ヒットすれば莫大な収益を生むけれど、外せば大赤字になるというハイリスク・ハイリターン型なんですね。
スターは、特に年齢などがありますが、キャラクターには年齢はありません。さらに人にはスキャンダルはありますが、キャラクターにはそれがありません。
そこにおいてもリスク分散があると考えられます。
アニメ映画はなぜ黒字化しやすいのか
一方、アニメ映画は実写に比べて制作費がぐっと低いです。
『鬼滅の刃 無限列車編』の制作費は15億円前後と言われており、ハリウッド映画の10分の1以下。
それでいて興行収入は500億円を突破しました。
コスパが良い理由は大きく3つ。
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制作費が低い:声優・アニメーター・デジタル制作費が中心
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スターに依存しない:俳優のギャラではなく、作品のIPそのもので勝負できる
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二次収益が強い:Blu-ray・配信・グッズ・イベントなどで長期的に稼げる
つまりアニメ映画は「作るコストが安いのに、広がる収益の裾野が広い」という特徴があるんです。
監督よりもスタジオと原作が看板になる
実写映画は「誰が主演か?誰が監督か?」で観客動員が変わります。
しかしアニメ映画は「スタジオ」や「原作IP」の信頼感が集客につながります。
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鬼滅の刃 → 集英社 × ufotable
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名探偵コナン → 小学館 × トムス・エンタテインメント
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ジブリ → スタジオジブリそのものがブランド
観客は「ジブリなら安心」「鬼滅なら観たい」と思う。
監督名や主演俳優に依存せず、スタジオと原作IPの力がコスパを支えているんです。
また、ヒットしているアニメ映画は続き物がおおいですよね。
ジブリは長年のブランド力がありますから、そこはスタジオの信頼。さらに鬼滅やコナンは原作への信頼があるのでそこは視聴者としても安心してみることができます。
映画は一回それなりに価格があるわけで、失敗したくない!
という今のコスパを重視したい人の気持ちにもマッチしていると考えました。
ufotableの総力戦体制
『鬼滅の刃』を手掛ける ufotable は、スタジオとしての特徴が際立っています。
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地方拠点:徳島にもスタジオを置き、東京集中型にしない
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分業体制:映像・仕上げ・3Dを内製化し効率的に制作
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若手育成:新人を現場に組み込み、実務を通して成長させる
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雇用の安定:外注頼みではなく、正社員として人材を守る
これはまさに“昔の日本企業の良い部分”を思わせる土壌で、長期的なクオリティを支えています。
鬼滅の映画パンフレットにも「このクオリティなら最低3年、完結まで10年はかかる」と書かれていました。
それでも2027年と2029年に無限城編のパート2・3公開が決定している。
本来なら10年かかるものを数年で仕上げるわけで、まさに総力戦で挑んでいるんです。
まさに、大型プロジェクトとして動いているわけですが、組織としての機能がとても効率的で若手育成も同時に行っているわけですから、もっと大がかりなプロジェクトが今後も期待できる環境にあると思いました。
他のスタジオもブランド化
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ジブリ:作品そのものが日本文化としてブランド化
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トムス(コナン):毎年安定して興行収入を稼ぎ続ける
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東映アニメーション:プリキュア、ドラゴンボール、ワンピースなど長寿IPを抱える
これらのスタジオは、監督よりも「スタジオ名」そのものが信頼の証になっています。
まとめ
アニメ映画が実写よりコスパが良い理由は、
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制作費が安い
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監督や俳優ではなく、スタジオと原作IPが看板になる
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Blu-ray・配信・グッズで長期的に稼げる
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スタジオの組織力(ufotable、ジブリ、東映など)が支えている
そして何よりも──
小さな仕事をコツコツ積み重ね、精度を極限まで高めていく日本人の得意分野が大きく関わっています。
自動車産業や精密機器で世界的な信頼を勝ち取ってきたように、アニメ制作も「ローリスク・ハイリターン」でありながら、細部まで完璧に仕上げる姿勢が作品の完成度をさらに高めているのです。
ハリウッド映画などの実写映画が「スター頼みの一発勝負」だとすれば、
日本のアニメ映画は「積み重ねで世界に誇れるクオリティを出す日本型産業」に近い。
だからこそ、鬼滅やジブリのように何年も稼ぎ続ける黒字作品が生まれるのだと思います。
ただ、日本の実写映画ももともと底力がありました。
外資系ではないとドラマすら予算が厳しいのが現状です…。
こちらの記事でも触れましたが、日本の邦画の製作費は平均3億だそうです。
俳優さんや監督さんの苦労を感じますね。コロナでは特に実写や舞台、音楽など人でのエンタメが苦戦しました。
ただ日本の視聴者が実写よりアニメのほうにシフトしているので、今後もその流れは続きそうです。アバターのような実写とアニメが融合するような、なにか新しい映画ができるともっと楽しそうです。
今後も日本独自の映画の発展が楽しみです。
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